住宅ローンを利用してマイホームを検討されている方のなかには、「いくらまで借りられるのか?」と借入額を気にされている方も多いのではないでしょうか。
金融機関から借り入れできる額には限度があり、それによってはマイホームで実現できることも限られてきます。
ここでは住宅ローンはいくらまで借り入れできるのか、その額について簡単に解説しましょう。
借入可能額は年収の5倍が目安
一般的に、住宅ローンで借り入れできる額(借入可能額)は「年収の5倍」が目安といわれます。
年収400万円の方であれば、2,000万円が借入可能額の目安となるでしょう。
とはいえ、実際にはこれ以上を借り入れできる住宅ローン商品はいくつも登場しています。
住宅ローンは金融機関を中心にさまざまな商品が出ていますが、金利も異なれば諸費用や引越し費用など建物以外の用途にも使える商品もあります。
こうした商品を使えば、年収の7~10倍の額を借り入れすることも可能です。
住宅ローンを借りられる額と返せる額は違う
住宅ローンの借入可能額を増やせれば、あきらめかけていた「夢」や「こだわり」を叶えることができるかもしれません。
ただし、借入額が増えれば返済額も増えることも念頭に置く必要があります。
仮に、年収400万円の方が年収の10倍にあたる4,000万円を借り入れたとしましょう。
金利1.5%、返済期間を35年とすると、トータル返済額は約5,143万円。
月々で割ると約12万2,500円のローン支払いが続くことになります。
金融機関は、住宅ローンの利用者が「いくらまでなら返せるか」という返済能力をみて借入可能額を決定します。
年収400万円の人に、毎月12万円以上の返済を求めるのは、果たして現実的でしょうか。
住宅ローンを借りられる額と返せる額は、異なるのです。
借入可能額を決める条件とは
では、実際に金融機関ではどのようにして住宅ローンの借入可能額を計算しているのでしょうか?
住宅ローン商品にもよりますが、多くのところでは以下5つの条件を用いて決めています。
・年収
・返済期間
・他のローンの借入額
・返済負担率(返済比率)
・審査金利
住宅ローンの審査では、年収や返済期間(借入期間)だけでなく、自動車ローンやカードローンなど「ほかのローンの借入額」もチェックされます。
もし、ほかのローンの返済に延滞や滞納があると、たとえほかの条件が満たしていても審査のマイナス対象になり借り入れできないこともあります。
「返済負担率」とは、年収に対する返済額の割合のことです。
たとえば、年収400万円の方が年間120万円(月額10万円)返済するなら、返済負担率は30%になります。
また、「審査金利」とは借入期間中の金利を金融機関があらかじめ設定したものです。
現在、住宅ローンの金利は1%前後のものが多いですが、今後金利が上昇することも想定されます。
多くの金融機関では審査金利を3~4%くらいに設定して、トータルの返済額を求めています。
住宅ローンは「返済負担率」にも着目すべし
金融機関では「いくらまでなら返せるか」という返済能力を重視して、住宅ローンの融資額を決めます。
そこで重要になってくるのが、「返済負担率」です。
返済負担率は金融機関によっても異なりますが、30%前後で設定しているところが多いようです。
返済負担率は年収によって変えている商品もあります。
その代表例が、住宅金融支援機構の「フラット35」です。
フラット35では、年収400万円未満の場合は返済負担率を30%以下、400万円以上は35%以下として計算しています。
返済負担率で見る年収別の住宅ローン借入可能額
返済負担率を30%とした場合、いくらまでなら借り入れできるのかを年収別でシミュレーションしました。
なお、借り入れ条件は以下の通りです。
・返済期間:35年
・他のローンの借入額:0円
・審査金利:3%(金利上昇を見越して高めに設定しています)
・ボーナス返済:なし
年収 | 借入可能額 | 毎月の返済額 |
300万円 | 約2,000万円 | 76,970円 |
400万円 | 約2,600万円 | 100,061円 |
500万円 | 約3,300万円 | 127,000円 |
600万円 | 約3,900万円 | 150,091円 |
700万円 | 約4,600万円 | 177,031円 |
こうしてみると、借入可能額は年収の6~7倍くらいが目安となるでしょう。
ただし、上記は「ほかのローンの借入額」を0円としています。
仮に年収400万円の方が、自動車ローンなどほかのローンで毎月3万円を支払っている場合、借入可能額は約2,200万円に減り、年収の5倍くらいになります。
住宅ローンの借入額が増えれば、諸費用も固定資産税も増える
マイホームを建てるのは、一生で一度という方がほとんどでしょう。
だからこそ、こだわりを実現させようと、できるだけ多く借り入れできる住宅ローン商品を探している方もいらっしゃると思います。
しかし、マイホームを購入するときは、工事費用以外にも諸費用がかかることを忘れてはいけません。
住宅ローンの融資手数料や登記費用、インテリアの購入費や引越し代などを、別に用意しておく必要があります。
これらも借り入れできる住宅ローン商品もありますが、借入額が多くなれば当然利息も増えますから、返済負担が重くなることに注意が必要です。
さらに、家を建てた後にかかるお金についてもあらかじめ予測しておきましょう。
高額な土地や家を購入すれば、それだけ火災保険料と固定資産税も高くなります。
増えるのは月々の住宅ローン返済額だけではありませんので、諸費用や諸税についてもあらかじめシミュレーションしておきましょう。
住宅ローンの借入目安額がわかれば予算を計算できる
家の購入を検討する際には、資金計画が大切だといわれます。
今の年収で、住宅ローンをいくらまで借りられるかという目安を知ることも、資金計画を立てるうえでポイントになってくるでしょう。
計算をしていくと、家づくりにかけられる「予算」も決まります。
なお、予算は住宅ローンの借入額だけでなく、用意できる頭金も含めて検討したいところです。
頭金なしで借り入れできる住宅ローン商品も登場していますが、借入額が増えれば将来の返済負担も重くなります。
頭金は、予算の2割程度あると無理のない返済プランを立てやすいといわれますので、準備を進めましょう。
無理なく返せる住宅ローンの金額は人によって異なる
資金計画を立てるうえで、もっとも大切なのが将来のライフプランを決めることです。
たとえば、夫婦二人暮らしの家庭と子どもが一人いる家庭とでは、借入額や返済額が同じでも、返済負担は全然違ってくるでしょう。
また、今は子どもがいなくても、将来は一人、二人と増えることも考えられます。
家族が増えるのは楽しみが増えることでもありますが、同時に生活費や教育費なども増えることも意味しますので、果たしていくら借り入れるのが無理なく返せるかをあらかじめシミュレーションすることも大切です。
まとめ
住宅ローンを利用するうえで、もっとも重要なことは「無理なく返済できる額を借り入れること」。
今の収入でいくらまで借り入れできるかを知ることも大切ですが、その借り入れに対する返済額が将来の生活を苦しめては、幸せな家庭を描けなくなります。
返済期間は人それぞれですが、これから30年以上の間に何があっても無理なく返済を続けられる金額こそが、借り入れても安心な金額なのです。